DXを理解し競争優位を手にする!SEに贈る自己投資術(後編-自己投資編)

前編の振り返り

前編では、DXの定義とその重要性について確認してきました。

簡単に振り返ると、DXとは「デジタル化を使って、楽してお金を儲ける、その体質を作る。」ということでした。そして、海外に比べると日本はDXの取り組み自体が産業全体で遅れている、という状況です。

後編では、DXというビックトレンドを踏まえて今後SEがどういった行動を検討してきます。

この記事でわかること

  • DXというビックトレンドを押さえた最適な行動指針がわかる!
  • 今後のその産業でどのような人材が求められるかわかる!

なぜDXが必要なのか?

なぜDXが必要になるのでしょうか。

その理由はたくさんあるでしょうが、少なくとも次のことは言えるでしょう。

次の時代で覇権を取ると考えられているひとたちは全員がDXという名の武器を標準装備し戦っています。
つまり持っていないと最初から相当不利な状態で戦わなければならない時代がすぐそこまで来ている状態です。
例えるなら初期装備でラスボス戦に挑むようなもので、とても不利です。

すこしだけ、過去を振り返ってみましょう。
2000年代はITバブルが弾けたあと、Google,Amazon,Facebook,Appleの時代へと突入しました。
彼らの共通点は何かをデジタル化し、それによって得られたデータを活用することで巨万の富を得ました。

  • Googleはありとあらゆる情報(文字情報、位置情報、町並み、地形)をデジタル化してそれを検索できるようにしました。
  • Amazonはショッピングをデジタル化して、出かけなくても物が買える仕組みを作りました。
  • Facebookは人のつながりをデジタル化しました。それによってターゲティング広告をより正確にできるようにしました。
  • Appleは携帯電話にパソコンの機能を押し込むことで、時計やカメラなどありとあらゆるものをデジタル化し、一つのデバイスにしてしまいました。
    そして、そのデバイスから得られる情報は何を検索して、何をメモして、何を見て、いつ起きて、どこに行ったかなど、まさにその人の人生そのものとも言える情報を手にしました。

そう、彼はDXを推し進めていたのです。
つまり、これからの時代はDXが標準的な必要最低限の装備になるということになるのです。
ですので別に今のまま細々とやっていければいいや、と思っている経営者、技術者は
時代や勝ち組に翻弄されながら、生きていくことになります。

現実世界で翻弄され駆逐されてしまった例を、過去から学びましょう

その昔、電話交換手なる仕事が存在しました。※
この仕事は電話線を繋ぎ変えて目的の人と通話ができるようにする仕事です。
公的な資格もあり、立派な仕事でした。
イメージがつきにくいと思います。

昔の電話は、物理的な線が最寄りの基地局まで繋がっており、基地局から別の基地局へ繋いだりして相手の電話と物理的に回線が繋がっている必要がありました。
この電話線を物理的に繋ぎ変えて接続するという作業を人の手で行っていたのです。
スマホが普及した今、全く想像がつかないですね。

でも実際にそれをなりわいとし、生活をしている人が居たのです。
しかし、約40年前の1980年代にその職業そのものが廃止されています。

人の手でやる必要はなくなったのです。
機械が自動的に切り替えを行うようになり、人が要らなくなってしまったのです。
ある種のデジタル化と言っても良いでしょう。
そうして、電話交換手という仕事はこの世から消え去りました。

※参考:電話の普及 その背景にある技術とは

さて、話を戻すと、今DXをしない企業はどうなっていくと思いますか?

遅かれ早かれ消え去るか、DXを進めた企業に飲み込まれていくか、といったことが考えられるます。
ただ、確実に言えることは、便利なものから不便なものに戻ることは決して無いということです。

先の電話交換手が、どんなに付加価値をつけたり、あるいは参入障壁を高くしようがいずれ、とって変わられてしまいます。
この車が購入できる社会で、わざわざ馬車に乗る人はいないんですよね。
「俺はスマホはいらない、ガラケーで一生過ごすんだ」という人は結局絶滅してしまったのです。
今ではおじいちゃん、おばあちゃんも使います。

だから、経産省は何度も何度もレポートの中で、生き残るためにやったほうがいいよ、と言っています。
なぜなら、DXに取り組まないという決断が失敗である可能性が高いからです。

しかし、経産省の言うようにすべての会社がDXをする必要があるかのような論調には賛同できません。
一定数、絶滅する企業は出でくるでしょう。
なぜなら「スクラップアンドビルド」の方が安く済む場合もあるからです。
レガシーシステムの上に新しい基盤を作るより、
しがらみのない新しい基盤の上に仕組み、ものを構築する方がより良く、早く出来るものが多いのです。
(SEの皆さんならわかりやすい概念ですよね。既存システムに手を入れるのはいつだって慎重になります)

すべての企業が変化に適応するいうことは、とてつもない熱量が必要になります。
例えば、あなたの会社で使用しているPCのOSをWindowsからLinuxに変更しようとすると、ものすごい反発を受けるでしょう。それよりも、もっと大きな考え方、あり方、主義を変えるというのがDXです。

だから、流れに任せて滅びていく会社があって当然だと私は思います。
古い会社が潰れて、新しい会社が生まれるという循環は自然な出来事ように感じます。
また、社会全体という視点で見たときに、新しい基盤を作る上という意味ではコスパがいいのです。

となると、重い腰があがらない経営者の元で、やっていくのは厳しいものがあります。
というのも、体質を変えるには、従業員ではなくトップダウンの力が必要になるからです。

簡単な例で例えてみます。
あなたがダイエットして太りにくい体を手に入れよう努力しているとします。

たとえ手足が、たくさん運動してカロリーをガンガン消費したとしても、脳がもっとケーキをどか食いしろ!と命令を出し、実際に、それも夜中に実行されてしまうとどうなるでしょうか?

結局太っていってしまいます。
つまり、手足という社員がいくら末端で頑張ったところで、脳という最終決定者である経営者の考え方が変わらなければ、企業の体質を変えることは難しいのです。
だからこそ、DXは経営者のモチベーションが非常に重要となると言われています。※
そして同時に、そのモチベーションが低い経営者の元で、この先 生き残っていくのは難しいのです。

DX白書2021 2章 「絵に描いた餅にならないための「経営のコミットメント」」

DXは新時代の標準装備です。
ただし、すべての企業がする必要はないし、出来るとも思えません。
そうなると、環境変化によって絶滅する種があるように、なくなる会社は必ずあると思います。
だからこそ、どのような体の手足になるか(どの会社に所属するか)は非常に重要な選択になるでしょう。

なぜ、経済産業省はDXが必要だと警鐘を鳴らしているのか?

DXはすべての企業が実践する必要はありません。
ではなぜ、経済産業省はDXが必要だと警鐘を鳴らしているのでしょうか?

答えの要素の1つは、日本の10数年先の未来が関係しています。

少し、過去を振り返ります。
30年前、高度経済成長期のまさにピークの頃、日本は非西欧諸国で初めて世界2位の大国へと上り詰めました。
それはさまざまな要因があり、一概には言えない部分もありますが、少なくとも国民の努力や朝鮮戦争の特需といった時代背景をバックボーンとしたもので、凄まじい成長であったと言えるでしょう。

しかし、そこから30年間、日本はバブル崩壊後の長期低成長時代を迎えます。

他国が成長していく中で、日本は「失われた30年」と言われるほどひたすら低成長、現状維持を続けたのです。
その結果、はじめのうちは「高水準を維持できている」という状態だったものの、
時代の変化とともに他国が成長することによって、国民も気が付かない間に低い水準にいる状態になってしまいました。

そして今、また時代が変わろうとしています。
現代の覇者であるGAFAMなどの巨大テックが、顧客のありとあらゆるデータを一社で持ち、それを源泉に広告収入や業務改善につなげる時代は終わろうとしています。
それは、プライバシーや市場の独占などの負の面とブロックチェーンを始めとする新技術により、少しずづ変化し始めています。
そうなると次の時代の勝者は、時代の潮目を見極め、変化を感じ取り、今から準備を進めていく必要があるのです。
ある日突然勝者になるのではありません。
確かに、準備をすれば誰もが勝者になれるかというと、そうではないかもしれません。
しかし、勝者となる人は必ず相応の準備を行っています。そして、それが時代と噛み合ったとき本物の勝者となるのです。

ですから、経産省はその時代の潮目、次の時代に向けて準備すべき時が、今なのだと警鐘を鳴らしています。
ここで日本企業が次の時代で頭角を表すことが出来なければ、いよいよ日本は凋落と滅亡への道を加速度的に突き進むことになるでしょう。

我々はどうしていくべきなのか?

DXには改革が必要で、しかもそれは経営者の確固たる決断が必要。
だとすると、イチ従業員である我々はいったいどうすべきなのでしょうか?

それは少なくとも、あらゆる状況に対応出来るよう、自己研鑽を行い続けることが大事になります。
もっというと、いつでも転職できるように、転職市場で有利なスキルを身につけることです。

IPAのDX白書2021の中でも、従業員のリスキル(学び直し)についてその重要性を説いています。
なぜスキルが必要かは明確で、DXの成否は経営者に依存することが多く、そして自分でない他人の行動を変えさせるのは非常に難しいからです。

不幸にも自分が今勤めている会社の経営者がDXに疎かったり、
DXの本質を理解していないと感じるのであれば、その感覚を大事にしてください。

それは、決してあなたが情報を持っていないからではないのです。
DXの目的を思い出してください。
DXの本質は「体質を改善すること」でした。

組織としての考え方をドラスティックに変えて旧態然としたやり方を変えることです。
この目的を達成しようとした場合、経営者は従業員へ繰り返し、その意志を伝える必要があるのです。
これが行われていない、社員に届いていないのとすると、今後も体質改善がうまくいくかどうか、かなり不透明だということになります。

このように、会社そのもののあり方が重要になってきますが、役員にでもならない限り、そこまで会社を変えることは不可能です。

そうすると、一個人何ができるのか。
そう、変化に耐えれるだけの求められるスキルを身につけることです。
つまり、会社に依存しないで生きていくためのスキルや技術を身につけることです。
そして、この会社は生き残っていけない、あるいは希望が持てないとなったとき、素早く転職することが何よりも重要なことでしょう。

なぜ、変化に耐えられるスキルを身につけることが大事だと言い切れるのでしょうか。

例えば、会社が潰れたら自分も仕事がなくなってしまう人、会社が潰れても別の仕事が見つかる人、という同じ「人」という種族でも仕事が見つかる人とそうでない人が居たとします。
どちらの人が最終的に生き残っていくでしょうか。
現代では仕事=お金を稼ぐ=衣食住を手に入れることになるので、当然仕事が見つかる人というのが生き残って行くでしょう。

そのような生き残る種がどういうものであるかを体系的に人生をかけて考察した人がいます。
皆さんご存知のダーウィンです。

ダーウィンは生涯かけて作った論文「進化論」の中で、種として生き残るもの、そうでないものを研究しました。
そして、その本質を4文字で「適者生存」と表現しています。

適者つまり環境に適合している者が、生き残るということです。

もちろん、先天的に環境に適合している人もいるでしょう。
しかし、もしそうでなかったら?諦めるのしかないのでしょうか?

いいえ、諦める必要ははありません。
人には理性によって本能を押さえ、自分を変革する力があります。
これは、本能のみで生きる動物にはない、人間がもっとも優位性を持つ部分です。
進化の過程で一番最後に手にした脳の機能でもあります。

意識しなければ、本能に負けてしまう頼りない機能ですが、それは確かにそこにあります。
そして、それは世間で様々な呼称、理性、意志力、モチベーションで呼ばれています。
本質的にはすべて本能に抗って自分を変える力です。

つまり、人は動物と異なり言葉を持ち、意思によって行動や行動原理を変える力があるのだから、環境の変化に気づいて適合していけば良い、ということです。

まずは、意識をそして、行動を変えて行きましょう。
ダーウィンについて研究を行っていたある教授が変わろうとする皆さんを勇気づけるような言葉※を残しています。

「生き残るものは、最も強いものでも、最も賢いものでない。変化に対応できたものだけが生き残るのである」

※諸説あります

転職の本質とは?

とはいえ、「いきなり転職に備えてください」と言われてもどうしたらいいかわかりませんね。
転職の本質を知るために、ある有名なRPGの話をしたいと思います。
ドラゴンクエストには、ルイーダの酒場という旅の仲間を募ることが出来る場所あります。
ここでは、これからの旅の中で必要になる仲間を集める必要があります。
皆さんはどんな基準で仲間を選ぶでしょうか?

職業?強さ?性格?レベル?
いろいろ基準はあるでしょう。

しかし、たいていの方は最初に職業を選んでいるとおもいます。
回復役がほしいから僧侶を探す、魔法攻撃できる魔法使いがほしい、物理攻撃が強い武闘家か戦士がほしい、などです。

つまり、もしあなたがルイーダの酒場で勇者の一味に選んでもらう側だとすると、
まず明確にしなければ行けないのはゲームでいう職業、
現実でいうなら、何が得意・できるかということです。

なぜ最初に決めなければならないかは明解です。
こう考えてみればすぐに納得できるでしょう。

あなたが勇者だとして、「何が出来るかわからないですが、やる気だけはあります」という人を
はたしてパーティに加えるでしょうか。
よっぽど自分が強くない限り、選べないですよね。

そう、自立して生きていくためには何よりも「何が出来るか」が重要になっていきます。

しかし、もし今何も出来ないと感じていても、焦る必要はありません。
何も得意なものがないと感じる方、まずなんでもやってみましょう。

実際にやってみると合う合わないは驚くほどすぐにわかります
とにかくすぐに辞めれるように逃げ道を用意しながらその世界に飛び込んでみるのです。

Amazonを世界企業にのしあげ、自身は長者番付の上位にランクインしている全CEOのジェフ ベゾスは株主に当てたメッセージの中でこう言っています。※
「選択には2種類ある。やり直しが簡単にできるもの、やり直しが出来ないものだ。やり直しが出来ないものは、慎重に慎重を重ねて判断する必要がある。しかし、やり直しが簡単にできるものは、まずやってみることだ。たいていの人や企業はまずやってみる、これが出来ていない」と。

※Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings

例えば、〇〇言語をやってみたい、であれば、その言語で1行でもコード書いて動かして見ればいいのです。
このチャレンジで失われるのは時間だけです。

他にも〇〇の資格を取ってみる、○○について勉強してみるといった自己投資のチャレンジで少額のお金も失うことになるかもしれません。

しかし、得るものはそれよりも大きいものばかりです。
例えば、資格を取得したとこで年収が50万高いところに転職できたとか、社内で自分が興味がある分野の仕事をやっている部署から声がかかったなどのイベントが発生すれば、投資額へ対してのリターンが大きいと判断できます。

あるいは、ある言語をマスターしたことでその言語で副業ができた、業務の自動化ができて生産性が上がり、早く退勤できるようになって自由な時間が増えた、なども考えられます。

そんなに簡単にいくだろうか?と疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、世の中の成功者、そうでない人の格差の根源は、常にやったか・やらないかの差でしかありません。

どうせ出来ないから、やったって意味がないからと、何もしないことを選択し続けることでは、結局何者にもなれず、成し遂げることができません。

ただひたすら、都合よく労働力として利用され続けるだけです。

古今東西あらゆる人が、成功者とそうでない人の差について語っています。
そこで、唯一すべてで共通しているのは、「何も行動を起こせない人は絶対に成功しない」という真理です。

待っていれば何か、素晴らしいことが起こるというは、幻想です。
誰かがそのチャンスや知識を与えてくれることは、永遠にありえません。

自分を変えたい人は必ず何かを先に差し出し(時間、お金、労働力など)、その見返りとして何かを得るのです。ノーペインノーゲインの法則です。何かを得たい(ゲイン)のであれば、”必ず”痛み(ペイン)が先です。※
まずは行動を変えていきましょう。

※この原則は下記の動画で詳しく学ぶことができます。

DX時代を迎えて、SEがどうすべきかは明確です。
会社や組織などの環境に依存しない自立できるようになることです。

労働者が手っ取り早く自立するには、2つパターンがあります。

  • 転職需要があるスキルなど専門性を身につけること
  • 副業などメイン以外の収入を得ること

何がしたいか明確でない人は、とにかくなんでもチャレンジしてみることです。
成功の秘訣は千差万別で再現性がないように思えますが、成功していない人の共通点はあります。
「将来に向けて何も行動していないこと」です。

今求められているSEとは?

求められているものは時代によって移りゆき、なかなか想像することは難しいことは間違いありません。
技術の流行り廃りもあり、どの技術を追いかけるかは悩ましいものがあります。
プログラミング言語一つ取っても、Javaが覇権を取ったかと思えば、Python,Go,Javascriptなどなど、後から後から便利な言語次々と登場します。
さて、SEはどのような技術を身につければよいでしょうか?

これも答えは簡単です。
あらゆる技術を学ぶモチベーションと、学び方を知っている、つまり自分の育て方という技術を身につけること必要な能力になります。成果に結びつく努力の方法を知っている、と言い換えてもいいかもしれません。

思ったような答えではなく拍子抜けしましたか?
しかし、これはどれだけ時代が変わろうとも変わることがない、普遍の真理です。

例えばAIに関する知識が必要な場合、それを自ら学んで身につけられる人と誰かに教えて貰わないとわからない人が居たときどちらの人を雇いたいとおもいますか?
なにか未知のものに対して、自分がどのようにすればそれを理解できて、分のものに出来るか知っている人は何よりも汎用的なスキルを持っていると言えます。

それは、先のドラクエで言うところの勇者といって間違いありません。
勇者は、戦士より力が弱く、魔法使いより魔法が弱く、僧侶より回復魔法が貧弱で、武闘家より素早さが低いです。
悪く言えば中途半端、器用貧乏です。
しかし、勇者が必要なのは、物語(世界観)の中でいちばん大事なキーとなる能力を持っているからです。
ドラクエ5であれば主人公はモンスターを仲間にできるというキー能力を持っていました。ドラクエ6の主人公はたった1つの上級職をマスターすることで、勇者という強力な職業につくことが出来ました。

そして、現実世界でのそのキー能力というのが、他ならぬ「自分で自分を育てることが出来る能力」です。
これさえあれば、どこに言っても困りません。
未知を学ぶことが出来るのですから、どこに行こうとも、その時、その時代にあった技術を学び直し、適合することが出来るのです。

これからの時代は、変化が激しい時代が予測されています。
最近では、ChatGPTというAIのチャットサービスの利用者が、史上最速の2ヶ月で1億人を突破しました。instagramで2年半、TikTokで6ヶ月出会ったことを踏まえると、変化はどんどん早まっています。
これでだけ変化の激しい中では、新しい技術に出会ったときに昔の知識に固執して立ち止まってしまう人材と企業は、どんどん片隅に追いやられるでしょう。

大切なことは、つねに自分がどうあるべきか、どうなりたいのかを考えながら自分を成長させることが出来る人材です。

自分を成長させる方法は?

自分を成長させる方法は、一つではありません。
それこそ人の数だけそのやり方があります。
では、どうやってそれを見つければよいでしょうか?

その答えは、「たくさん試行して合うものを見つける」
これ以外にはちょっと考えにくいです。

皆さんは自分の好きな食べ物はご存知でしょうか?
それはどのようにして出会いましたか?
好きな食べ物を、それを食べずに決めることが出来る人がこの世に居ないように、自分を成長させる方法を、自分に試さず知る方法はありません。
いくら勉強法の本を読んだところで、実践してみなければその感覚や合う・合わないはわかりません。
食べ物であれこれ想像を巡らせた所で、食べてみるまでわからないことだらけなのです。
言葉便利です。
しかし、いくら苺の甘さを的確に言葉で表現しても、食べたときの情報量にまさる言葉はありません。
言葉は所詮、人の作りしものです。
体験に勝る経験はありません。

だから、色々な本や情報をもとに色々試してみる以外に方法はありません。
つまり、試食してみるしかないのです。

しかし、たくさんの人が好きな食べ物があるように、たくさんの人がオススメしている勉強法の中から共通部分、つまりコアをお伝えしたいと思います。

  1. やる量に濃淡はあれど、毎日つづけること
  2. 定期的に復習すること
  3. 力の入れる方向を間違えないこと

1は「1にして全て」といっても過言ではないものです。

何事も一日で達成することは不可能です。
それは当然、達成したい目標が大きければ大きいほどその傾向があります。

だからこそ、継続できなければ話にならないのです。
一日で達成できてしまうと目標いうのは大した目標ではないのです。

また、単発でやってやめてしまう、これも無駄です。
一日で出来ることはたかが知れているのに継続しないのでは、やはり何事も達成できません。
「継続は力なり」という言葉があります。
これはあたかも力の一部分が継続であるかのような印象を受けますがそうではありません。
真実は「継続のみが力である」、そう言い換えて過言ではないでしょう。
オリンピックで金メダルを取るようなアスリートが、継続して練習をやっていないということがあるでしょうか。

2、人は忘れることで生きて行ける生き物です。

忘れることが出来なければ、生きていけないのです。

あるサヴァン症候群の男の話があります。
サヴァン症候群とは記憶力が異常に良いという症状を指してそう呼称しています。
言いかえれば、忘れることが出来ないという障害とも言えます。

あるサヴァン症候群の男に、研究者が「それだけ記憶力があると世界はどう見えるのか?」、と問いました。
男は「すべての瞬間が”個別”に識別できてる」と答えました。

これは驚くべき世界を示唆しています。
例えばジョンという犬が居たとき、普通の人から見ると犬のジョンは5分前も10分前も、同じジョンであり、変わることがありません。
しかし、サヴァン症候群の男からその犬を見たとき、5分前と10分前の犬が”個別”に識別出来ています。
なぜなら個別に記憶されているからです。
だから、なぜ10分前にジョンと呼ばれたその犬が、5分前に同じ名前でジョンと呼ばれているのか理解できない、ということが起こり得るのです。

この話から得られる教訓は、人は忘れることで対象を抽象化し、情報を削ぎ落とすことで記憶に留めることが出来るということです。
前の話ではジョンの特徴を理解し、それに該当する犬をジョンと呼ぶことにしているのです。
細部まで個別と見なさないからこそ、概念を理解しそれを利用できるのです。

だからこそ、1度やっただけでなく、何度も復習しその概念を強化することが何よりも大事になります。
1度やっただけでは解像度が粗すぎ使い物にならないからです。
何度も何度も複数することで概念の解像度を上げ、利用できるようにする、その作業が必要になります。
ユダヤ人の格言の中に、このような言葉があります。
「復習は記憶するためにするのではない。復習するたびに新たな発見があるからだ」と。

3、「走り出す方向を間違えないこと」です。

ただし、「最短距離を行け」ということではありません。
自分にとっての未知の分野に関して、最短距離がわかるということはありえません。
なぜなら未知だからです。

だからといって、闇雲に走っては目的地にたどり着けません。
よくわからないけど手当たり次第にやってみるでは、たしかに行動こそしているものの、うまいやり方とは言えません。
私の未知を学ぶとき、下記の2つを意識しています。

  • それを学んで何を達成したいか(何者になりたいか)
  • とにかくざっくりでも、全体像を掴んで置くこと

とにかく、目標が大事です。
学ぶことは手段であって目的でありません。
学ぶこと自体が目的になってしまうと、
自分に不必要な知識をぶくぶくと太らせて、いわゆる「君の敗因はメモリの無駄遣い♪」という状態になってしまいます。
だからこそ、それを学んでどうしたいのかは意識しておく必要があります。

逆に目標が漠然と大きなものでも持てないのだとしたら、今それを学ぶ必要はないのかもしれません。
時間は有限です。
大事なことは次から次へとやってきます。
やらないという決断も非常に大事な決断です。

そして、全体像を掴むことも非常に重要です。
これは、その技術、分野を知る上で非常に重要なことです。
普段目にしている街の景色から、街の全体像を知ることは限りなく難しいですが、地図があれば自分が今どこにいるのか一発でわかります。

「3人のレンガ職人」のイソップ寓話の話にあるように、
目の前の1つ1つしか見えていない人と、完成形をイメージしながら、目の前の作業に取り組んでいる人とは雲泥の差があります。階段を登った先に見える景色が想像出来ている人と出来ていない人では一歩のモチベーションが明らかに違います。
目の前の1つ1つしか見えていない人は継続することが難しいことが多いのです。

未知の分野でこの全体像の把握のために、あらゆる賢人がオススメしているのが、その分野の入門書を3冊読み比べるというものです。これは本の目次を見るだけでも、大いに学びがあります。
そのこれから学ぼうとしている分野ではどの話題に興味があり、どのような分野に関心があるのか、目次を並べるだけでも十分にわかります。
そして、3冊見比べることでより偏りを排除できるのです。
こうして一歩を踏み出すことができれば、効率が悪いということとは無縁でいられます。

銀の弾丸は存在するのか?

本記事では、DXを理解し、どのようなSEが求められているのか、
求められるSEになるためにはどうすればよいかを見てきました。

簡単に振り返ると、DXとは「デジタル化を使って、楽してお金を儲ける、その体質を作る」ということでした。
つまりただ単に何かをデジタル化するだけでなく、最終的にはその企業体質を変えることが目標でした。
次に、DXをしない企業は淘汰されていく理由についてその理由を追いかけました。
そして、DXに無頓着な経営者が経営する会社からは離れるべきである理由も考察しました。
そして、たくさんの変化が予測されるこの時代に求められるSEは、自立していることが最低限の条件ということを確認しました。そして自らを育てることが出来るSEはどの時代でも必要になるということも示唆しました。
また、自分を育てるための3つの普遍の原則を提示しました。

  1. やる量に濃淡はあれど、毎日つづけること
  2. 定期的に復習すること
  3. 力の入れる方向を間違えないこと

この記事は「これをやればいい!最速で最強のSEになれる!」という、
内容を期待した皆さんにとって肩透かしだったかもしれません。

しかし、明日いきなり億万長者になる可能性が低いように、いきなりなんでも出来るスーパーSEになれることはありません

現実世界はどこまでも自分の延長線上にしかありません。
銀の弾丸はこの世には存在しません。

あるのはひたすら地道で、地味な今が連続しているだけです。※

しかし、今にフォーカスし、今を懸命に生き続けた結果、それはある時、突然やってきます。
あれ、思ったより手応えがある、前よりも話が理解できる、自信がついたと思える瞬間は本当に突然やってきます。

それはあたかも、長い長い暗いトンネルをひたすら地道に手探りで歩きつつけた先に広がる光り輝く眩しい別世界のように、突然やってきます。
そして、そのトンネルを抜けてしまうと、周りの景色がよく見えるようになり、自分の歩を進めるのが楽しくなります。
どんどん先に行きたくなります。この先に何が待っているんだろう、と。

※この地道な習慣の変更は、「Atomic Habits: An Easy & Proven Way to Build Good Habits & Break Bad Ones」が大変参考になります。Youtubeの要約もあります。

こうなれば、しめたものです。あとは興味の赴くままにひたすら、その道中を楽しむことができます。
かつて孔子は言いました。
「これを学ぶものは、これを好きなものにしかず。これを好きなものはこれを楽しむものにしかず」と。

初めの入り口は学びであったものの、やっていくうちにそれが理解でき、それが好きになり、好きでやっているうちに楽しくなってくる。学習の過程を端的に説明した名言であります。

そうして、さらに進むと、もはやゴールにつくことが目的ではなくなります。
ゴールは一過性のものです。

しかし、目的地にたどり着く道中は自分がゴールと思わない限り永遠と続くものです
そう、そこには永遠の喜びがあります。

今はまだ、それを感じることが出来ないかもしれません。
しかし、自分の育て方がわかったとき、学び方がわかったとき、人生は驚くほど輝きに満ちたものとなります。

私はかつて、暇さえあればスマホゲームで時間を溶かすような典型的なダメリーマンでした。
何か物足りない日々、そして何か漠然と不安を感じていました
新しいことにチャレンジしてみることを嫌い、耳障りの良さそうなことを言う人の言うことを鵜呑みにして生きていました。

しかし、これでは駄目だと感じ、とにかく知識をつけるのだと、本を読み漁る様になりました。
その中で、中国古典を学んだり、文学に触れたり、歴史を学び直したり、ビジネス本を読んだり、興味が湧くようなたくさんの本に触れました。

そしてそれを続けたある時、その突然その長い長いトンネルを抜けました。
私の場合、トンネルを抜ける直前は、徐々に感覚が変わっているなという意識がうっすらあるんだか、ないんだか、といったかすかな違いでした。

しかし、ある時ハッキリと知覚できるほどの違いを感じました。
それは筋トレを半年ほどつづけた結果、お風呂に入るとき、ふと鏡を見て、あれ?腹筋割れてない?と、ある時急に、しかしハッキリと、知覚できるようなそんな感覚です。

あのうだつの上がらない私が知識を沢山つけるだけで、この気持ちになれたのです。
皆さんもぜひ、この感覚を味わって頂きたいと思い、この記事を書きました。
皆さんの行動を変わることを願っています。

まずは一歩目を踏み出してみてください。
全てはいつもそこから始まります。

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