今日は、ジェレミー・ハイマンズ、ヘンリー・ティムズさん・訳:神埼朗子さんの「NEW POWER」(ダイアモンド社)を読んだので、そのエッセンスをお届けしたいと思います。
「NEW POWER」ですか。力は常にほしいですが、新しい力というのは、興味深いですね。
一体、どんなことが学べるのですか?
この本から学べることを下記の通り、SEの視点でまとめてみました!
- バズるために必要なNEW POWERとは何なのか?バズりをブームで終わらせないためには、何が必要なのか?
- その力を適切なケースに適切なタイミングで使うために必要なこととは?
バズりたいです。早く教えてください!
では早速詳しく見ていきましょう!
1.NEW POWERとは
ことのはじまり
アメリカで一昔前に起こったMeToo運動や、アイス・バケツ・チャレンジをご存じでしょうか?
これらはすべて、ある一つの少数でムーブメントが、全世界に開かれたプラットフォーム上で拡散されることで、またたく間に全米や全世界に広まったムーブメントです。
MeToo運動では、米国である映画界の重鎮が、その暴力の代償としてその座を引き釣り降ろされてしまいました。
アイス・バケツ・チャレンジでは、ケンタッキー州で行われていたローカルなチャレンジが、学生・主婦と徐々に広がりを見せる中、ある有名な元野球選手でALS患者の選手がSNSにアイス・バケツ・チャレンジを投稿したことで、世界中の人気に火がつきました。
その後の展開は、よくご存知かもしれません。
みなさんがメディアで見てきたとおり、ムーブメントは海底ケーブルを通って地球の裏側の日本まで回ってきたのです。
そう、我々は一つの目標に向かって、見ず知らずの群衆が集団で行動した時、とてつもない力を生むことをすでに何度も目撃しているのです。
この力の正体?
この力は一体なんでしょうか。
これを作者、ジェレミーは「ニューパワー」と名付けました。
「ニューパワー」を自分なりに一言で表現すると「分散型の力」と表現するできます。
「分散型の力」は誰かトップがいるわけではなく、全員がそれぞれ役割を持ち、全員がひとつの世界観、目的を共有するときに生み出される力です。
反対の「集約型の力」とは、ある一部の権力者がすべてを牛耳るという、今まさに社会や会社で実現させれている権力構造です。これをジェレミーは「オールドパワー」と名付けました。
ではなぜこの分散型の力が「ニューパワー」と呼ばれるのでしょうか?
この力は一部権力者がメディアを牛耳ることによって独占していた力だったのですが、
SNSにより、「情報の民主化」という技術革新が行われた結果、大衆に「開放された力」=「新しい力」となったのです。
そういった意味で、これは「メディアの力」を我々が利用できるようになった、と言い換えることができるかもしれません。
そもそも、情報とはあらゆる意味で重要なものになります。
携帯電話の無い時代の待ち合わせを想像すれば、用意にその便利さが理解できると思います。
まず、待ち合わせをするためにはきちっと時間と場所を決めておく必要があります。これが間違っていればまず待ち合わせは成立しません。十数メートルの範囲ですれ違って会えないなんてこともままあるのです。
また、情報という縦軸で歴史を見ると、情報を制した国がその時代の覇権をとっています。
フランス(神聖ローマ帝国)の腕木通信に始まり、イギリスの電信からアメリカのインターネットとその通信技術の革新はそのまま覇権国と密接に関わっています。ここについてはIT全史(中野明)の本が詳しいので、ご興味のある方はぜひ。
「ニューパワー」とは情報によって行動させる力
このように、「ニューパワー」とは「群衆が集団で行使する分散型の力」であり、それは「メディアの民主化」によって人々に開放されました。
次に、この力は現実世界にどのような影響を与えているのか、どのように使われているのか、その破壊力を見ていきましょう。
2. どうやって使われているのか?
どうやって使われているか?に関しては大きく2つ方向性があります。
一つは、企業が自身のビジネスを進めるために使う方向性。もう一つは、一般大衆が大きなムーブメントを起こして体制をひっくり返すために使う方向性。
企業がビジネスのために利用
企業が使う方向性の代表としてはAirbnbやUberがこの力を使っている言われています。
例えばAirbnbでは、顧客と顧客をつなげることに徹しています。つまり空き家を貸したい人と、旅行先で短期滞在したいしたい人というマッチングする場所としてのプラットフォームを提供しています。
Uberも同じで、車に乗りたい人と、車をうまく稼働させたい人を結びつけています。
ムーブメントを起こすため(一般が体制を超えるため)
こちらは、先に出てきたアイス・バケツ・チャレンジや、オープンソースによる開発もニューパワーと言えます。
大衆が起こした行動が、全体へと波及するこのうねりのような力を使っています。
3.どういう特徴があるか?
ニューパワーには以下の特徴があります。
- 分散型の統治
- コラボレーション、共有、オープソース
- 徹底的な透明性
- 自分たちでやろうの精神
- 短期間の参加、全面的な参加
一方、オールドパワーには以下の特徴があります。
- 集約型の統治、管理統制主義、制度尊重主義
- 競争、独占、リソースの統合
- 機密保持、公私の区別
- 専門知識、プロフェッショナリズム
- 長期の所属と忠誠、全面的な参加率は低い
このように、会社や、組織、国といったところにはオールドパワーがふんだんに使われております。
逆に最近のトレンドであるWeb3、ブロックチェーンなどに代表される分散型は、まさにニューパワーです。
4. どういうときに使うべきか?
これには4つの質問にすべてYesと答えられた時、ニューパワーはその真価を発揮します。
一つでもNoがあった場合、その力は半減するかオールパワーを引きづった考え方が一部に存在している可能性があり、うまくいかなくなる可能性が高くなります。
- 戦略:良い結果を出すために、群衆を巻き込む必要があるか?群衆はあなたのアイディアを必要としているか?
- 正当性:巻き込もうとしている群衆があなたを無視したり、目的や意図と違うことが実行される恐れが無いほど、あなたのアイディアには正当性があるか?
- コントロール:一定の範囲内で、群衆の権利を委譲するつもりはあるか?予想外あるは次着の結果となっても、受け入れられるか?
- コミットメント:群衆による関与を維持し、長期に渡って群衆の取り組みを促進する覚悟や、能力があるか?
このように、群衆の力をうまく利用するためには、群衆の必要性や、目的の正当性、コントロールを手放す覚悟や、関与を維持するための評価、仕組みを提供し続ける必要があります。
これが揃った時、そのプロジェクトは意義を持ち、巨大な力となり、企業という圧倒的な資本にまさることが可能となります。
これはまさにLinuxとWindowsの関係に似ています。
大衆が積み上げたLinuxというOSとMicrosoft という巨大資本が一社で作り上げたOS。
まさにオールドパワーと、ニューパワーのOSです。
5.まとめ
ニューパワーについてまとめていきたいと思います。
- ニューパワーとは分散型で透明性が高く、継続してたくさんの人が関連し役割を持てる時、その真価を発揮します
- ニューパワーは一度爆発すると、国家や企業を動かすほどの力になります。そのレベルに至るにはたくさんの共感者とそれなりの正当性が必要になります。
- ニューパワーはいつでもどこでも使用できるものではなく、真価を発揮させるために、意義や継続できる仕組みを考えて群衆に対して方向性を示す必要があります。
いかがだったでしょうか。
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